2023ダイジェスト


2023年1月5-9日「北海道の雪結晶」 1/51/61/71/81/9
今回晴れて5日間も北海道へ遠征することができました。『雪は天から送られた手紙である』という中谷宇吉郎の言葉に代表されるように、大気の状態によって雪結晶は様々な形態を取ります。極低温下での雪結晶を期待していたのですが、出会えた結晶は板状結晶群がほとんどです。しかし、氷点下での雪結晶は本当に美しい!!!時間を忘れて、体力が尽きるまで観察に勤しみました。
2023年2月11日「ローウィッツアーク」
ローウィッツアークが見られました。上部・下部・環状(Upper/Lower/Cicular)の三種がしっかりわかります。ローウィッツアークは、幻日を作る六角板状氷晶が長軸(六角形の頂点同士)を中心にクルクル回転するような分布で生じる現象です。本サイトでは、数多のレア現象を記録してきましたが、ここまで明瞭なローウィッツアークを記録することは初めてです。
2023年2月28日「花粉光環の高度変化」
花粉がたくさん飛散し、太陽の周りに光環ができました。これは花粉光環という現象です。B-R画像処理をすると楕円というより六角形状であることがわかります。花粉粒子は完全に球状ではないだろうから、おそらく花粉粒子の形状が影響しているのだと思います。
2023年3月24日「寒冷前線通過 吊るし雲」
明朝寒冷前線が通過。その後は鈴鹿山脈の東側に、山越の気流が作る吊るし雲が大量に見られました。今日も津の方に出張だったので、移動の途中観察をしましたが、やはりずっと見られる。鈴鹿山脈の走向は、吊るし雲を生じさせやすいのかも?と思いました。
2023年5月5日「前線接近 高度の高い層積雲 能登半島で地震」
前線の接近に伴い、巻層雲が朝から広がり22度ハロが生じました。次第に上層雲の雲量は減っていき、夕方には形やサイズの整った層積雲が広がりました。サイズの整った層積雲は少しだけ珍しいため、広い場所で観察をしてみました。 また今日は正午を過ぎたころに地震がありました。緊急地震速報を受信してから、防災科研のリアルタイム震度を確認してみると、理論上計算されるP波S波の到達とほぼ同時に地震を観測。スマホ一台でこの情報に瞬時にアクセスできるのは単純にすごいことだと思います。
2023年5月23日「三日月と金星」
天気はどんどんと回復していき、夜には雲一つない快晴となりました。 夜、出張から帰りふと西の空を見ると、三日月と金星が寄り添う姿がとても印象的で、豪華な空となりました。
2023年6月5日「高積雲の波状雲」
四日市市では最高気温27.5℃と、まだ夏日には届かないものの暑い1日となりました。中層の高積雲が朝から卓越し、さまざまな姿を見せて楽しませてくれました。 TOPの画像は、高積雲の波状雲。地震雲としてしばしば取り上げられることがありますが、地震雲ではありません(というか、そんなものない)。
2023年7月4日「東京積乱雲にスプライト」
未明、トラフが深まりながら東進し、東京では積乱雲が発達しました。活発な雷活動が認められ、三重県からは何度もスプライトが観察できました。
2023年7月21日「一面の黒点」
太平洋高気圧が弱まり、前線は南下。三重県では、夕方にはほぼ快晴となりました。昼頃の雲量が少なくなったタイミングで光球をスナップ。たくさんの黒点群が一面にありました。半暗部の様子もよくわかります。
2023年7月28日「かなとこ雲の流線」
今日も各地で積乱雲ラッシュ!昨日言及したように14時台になって、岐阜や多治見、奈良などの方角に積乱雲ができました。 昨日より視程が低く積乱雲本体は見にくかったですが、広がったかなとこ雲の先端が美しい流線を作りながら夕焼けに染まっていきました。
2023年8月4日「積乱雲ラッシュ!」
午後になると各地で積乱雲が乱立。和歌山から三重県に向かう道中では、名張市にできた積乱雲の衰退を鑑賞しながら回り込みました。三重県に帰ると北東方向に積乱雲がぽつぽつと見られました。教科書的なかなとこ雲が広がっています。
2023年8月19日「夕方に積乱雲発達 幕雷・落雷」
日没後でしたが、太陽光が届いて、かなとこ雲を赤く染め上げます。乳房雲も付随しており、横から入った光によって、その形状がだいぶわかりやすいです。
2023年9月6日「前週の主虹・副虹」
夕方に前線が通過後、西の空から太陽光戦が差し込んで、見事な全周の虹が生じました。 主虹は光線が「屈折→水滴内で反射→屈折」というプロセスで説明されますが、これだけでは虹が生じる理由にはなっていません。実は、水滴への入射角は、水滴の位置によってばらばらですが、それによって入射光にたいして光の角度が変化します。主虹の場合、入射光に対して0~42度まで曲がりますがこのとき42°に光線が集中するため、虹として観測されます。ちなみに42°より小さな光は虹の内側なので、主虹は内側が明るいのが特徴です。
2023年9月21日「寒冷前線が通過」
夜になると寒冷前線が通過。降水域はシャープで、すぐに雨は止みましたが、発雷を多く検知。降水にかき消されることなく、落雷の様子を観察することができました。
2023年9月24日「小さな積雲の放射状雲」
とうとう日中の最高気温が30度を下回り(真夏日にならず)ました。終日快晴気味でしたが、小さな雲片が散在。サイズは高積雲くらいですが、高度が明らかに低く、高積雲特有の構造が見られません。しばらく観察していると、べナール対流によって生じている様子が明らかにわかりました。この雲は南北に連なるクラウドストリートを形成しており、放射状雲となりながら優しく焼けていきました。
2023年10月27日「寒気トラフによる発雷 まさに晴天の霹靂」
500hPa高層天気図を見ると-21度以下の寒気を伴ったトラフが南東進。それに伴い、各地で大気の状態が不安定となり積乱雲が乱立。三重県ではシアーラインの通過に伴い、まとまった雨と雷が1時間ほど継続しました。通常の負極性落雷がほとんどでした。このシアーラインが通過後、この雷上空に向けてスプライト用カメラで観測をしてみましたが、スプライトは生じず。やはり今回の発雷はほとんど負極性だったようです。
2023年11月23日「一面の高積雲」
高積雲が一面に広がりました。上空の風の流れに沿って列状に並び、放射状雲となりました。円周魚眼で撮影すると、その様子がよくわかると思います。
2023年11月28日「地学巡見 南紀熊野ジオパークで巡見」
南紀熊野ジオパークの巡見を行いました。
2023年12月11日「パリーアークとローウィッツアークの描写」
温帯低気圧の前面に巻層雲が広がりました。この巻層雲に対して、素晴らしいパリーアークが見られました。付随して生じたタンジェントアークはぼんやりとわかる程度ですが、パリーアークはそれと同じくらいの分光度でした。一般にパリーアークはタンジェントアークを生じさせる長軸水平の姿勢に加え、底面が水平になることが求められるため、力学的にシビアです。そのような中でも、少なくとも30分程度はパリー姿勢は継続していたようでした。 この時の画像を強調処理してみると、見事な上部ローウィッツアークが浮かび上がりました。 特に上端部でパリー、ローウィッツ、タンジェントアークが複雑に交わるところは、大気光学現象の奥深さを感じさせます。 その後、パリー・ローウィッツアークは消え、幻日+22°ハロという基本的な大気光象。太陽高度がそれなりに高いため、幻日は22°より少し離れて生じている様子がわかります。
2023年12月14日「ふたご座流星群極大前夜」
昨夜から未明にかけて、ふたご群の観察に来ています。極大より30時間くらい前ですが、活発に活動していました。予報では雲量0でしたが、1時ごろになると層積雲が発生し、撮影中止。今回はGTiという赤道儀に広角のカメラとスペクトル観測用のカメラで連続撮影を行いました。残念ながら流星スペクトルは撮影できず、まだまだ機材の不備が目立ちます。しかし、寒空の下で眺める星はやはり美しい!

0 件のコメント:

コメントを投稿