2021ダイジェスト

2021年1月11日「完璧なマルチディスプレイハロ」

午前中は高層雲主体の雲。 高層雲が薄くなってくると,だんだんとすごい光景が広がり始めました。 まずは,太陽と同高度の場所に幻日環!そしてその上には120°幻日も見られました。 120°幻日が薄くなった頃に,それ以外の現象がたくさん生じ始めました。 まずはシャープなタンジェントアークの上に覆いかぶさるようにパリーアーク! サングラスをしなくても分光している様子がはっきりとわかります。 それから環天頂アークが物凄い輝きで分光を始め,その下にラテラルアークが生じました。 このように,さまざまな現象が一斉に見られる光景のことを,マルチ・ハロ・ディスプレイ(Multiple Halo Displays)といいます。 今まで見た光景の中で,最も素晴らしい眺めの一つとなりました。
2021年1月26日「太陽高度11°のタンジェントアーク」

低気圧の前面に対応する上層雲域が朝から覆い,巻雲や巻層雲が広がりました。これを狙って日の出に合わせてベランダで観察していましたが,面白い光学現象は出ず。今日も空振りか,と思いながら職場に向かい,空をもう一度みると素晴らしい現象が生じていました。
2021年2月8日「ベール雲」
朝方,降水雲が山脈沿いに生じていました。東からの光を浴びて,ほんの一瞬,地上付近の降水雲に虹が生じていました。地上に到達する頃にはギリギリ融解して水になっていたのですね。午後には雲頂部にベール雲や頭巾雲を伴った積雲が卓越。大気が湿っていることを可視化してくれています。
2021年3月6日「22°ハロと細長いレンズ雲」
昨日の雨をもたらした低気圧は去って,午後から巻層雲が広がりました。この巻層雲には22°ハロやタンジェントアークが生じ,低い位置では細長い細長いレンズ雲が重なりました。なんだか不思議な光景です。
2021年3月日「幻月と幻月環」
昨日の記事を作り終え,月夜を楽しもうとベランダに出てみると月の周りに何かが見えています。早速カメラを設置して撮影をしてみると,月齢15.7の月に,幻月が生じていました。カメラによってようやくわかる程度の淡いものですが,1時間以上安定して出現していました。 何度か撮影していると,なんとなく幻月環(perhelic circle)も見えるような気がしたので強調処理を施してみると思った通り幻月環も生じていました。 別段美しいものではないですが,月光による幻日環の観測はかなりレアな現象だといえます。
2021年4月8日「全周幻日環・下部ラテラル・そしてウェゲナーアーク」
朝生じた巻層雲に,それはそれは強烈なタンジェントアークが煌めくのを仕事の合間に確認しました。幸い,屋外にすぐいけるような場所だったので,開けた場所に移動して確認。すると,数年に1度あるかないかレベルの現象を確認することができました。 まずは,鮮明なタンジェントアーク!上部と下部が完全に繋がり,サングラスなどをしなくても確認できるほどの完璧な外接ハロとなっていました。さらに,太陽東の下,離角46度のところには下部ラテラルアークを確認!このホームページで載せるのは初めてかもしれません。 そして極め付けは全周に渡って生じた幻日環!今年の1月11日の現象も相当すごかったですが,明瞭に全周が繋がった幻日環はかなり久しぶりな気がします。この幻日環上の向日点付近に肉眼でもわかるほどの輝点があり,じっくりと観察してみると,どうやらウェゲナーアークが生じているようでした!もっとじっくり観察したかったですが,残念ながら仕事の合間だったので約5分間の観測記録,でした。
2021年5月28日「ものすごい乳房雲!」
南岸には長い前線。梅雨期独特の天気図が続きます。北緯35度付近にはジェット気流(強風軸)とそれに対応する上層雲が広がりました。朝には22°ハロも見られました。その後,雲はどんどんと厚くなっていき,高層雲や層積雲。 太陽が沈む頃,室内でも異様に思うくらい世界が紅に染まりました。層積雲は先が尖った雲塊となり,やがてそれらは丸くなっていきました。乳房雲です。この形成過程は自宅のベランダから東の空で観察したもの。 外に出て西の空を確認すると,おびただしい数の乳房雲が密集していました。なかなか無い光景です。 ちなみに,いくつかの写真はiPhone12ProMaxで撮影しました。超広角は空撮影で重要な要素です。でもまだまだ一眼レフには負ける,かな。
2021年6月4日「劇的な夕焼け」
朝から気温が20度近くで推移。蒸し暑く,下層でも暖湿気の流入を感じます。昼頃には降水のピークが来ました。 夕方,仕事を片付けつつ外を見てみると,ものすごく劇的な夕焼け!ここまでの夕焼けはなかなかみることができません。吊るし雲が田んぼの真ん中にポカリと浮かび,不思議な光景となりました。
2021年6月17日「愛知静岡付近の積乱雲」
三重県の平野部では雄大雲は発達せず,山脈に沿ったところで,雄大雲が成長していきます。同時に上空には巻雲が北西方向から流れ込んできており,幻日や22°ハロも楽しめました。九州の方ではウェゲナーアークなどの超激レア現象が生じていたようです。 東の低空には静岡と愛知の県境付近で発達した積乱雲。ベール雲を付随させながら,発達と衰退を繰り返します。動画を見ると,その様子がよくわかります。
2021年6月20日「鮮やかな彩雲」
普段彩雲はあまり撮影対象にしないのですが(しょっちゅう出現するため),今日の彩雲は記録せずにはいられませんでした。まるで虹のように分光し,はっきりと色の違いがわかるのは珍しいと思います。その証拠に,数十秒後には,いつものような「よくある」彩雲に戻っていましたから。 中〜上層雲が主体の対流雲がメインで,尾流雲や巻雲があちらこちらで見られました。
2021年7月31日「暮れの天割れ」
未明に雷雨。早朝から仕事だったので撮影はしませんでしたが,自宅のカメラがたくさん検出していました。大気の状態が不安定の為,夕方には西の空(名古屋方面)に大きな積乱雲が生じており,彼方の雨脚を媒質とした虹も観察できました。仕事を終えてコンビニで休憩していると,真上に見事な膨らみを持った乳房雲がうかびあがり,そこから素晴らしい夕焼けのスタートとなりました。鈴鹿山脈方向(西)には積乱雲が生じており太陽光が光の筋となって空を二分しておりまさに『天割れ』状態です。夜はこの積乱雲と名古屋方向の積乱雲による雷光のフラッシュが断続的に生じました。発雷域が自宅にもっとも近づいたタイミングで雷電のスペクトルをスナップ。対物レンズに透過型回折格子をつけただけの簡素な作りですが,NやOの輝線スペクトルと思われるスペクトルが認められます。
2021年9月13日「素晴らしい大気光学現象の1日」
台風14号はほとんど停滞しており,偏西風に載ったタイミングで東進する予想です。衛星画像を見てみると,この台風につながるように上空の太平洋高気圧の北縁に沿った前線が連続しています。今日はこの停滞前線に対応した巻層雲に長時間素晴らしい現象が断続的に生じました。 朝から22°ハロやタンジェントアークが見られましたが,10時ごろにはその分光が明瞭になっていきうっすらと幻日環が見えるようになっていきました。もっとすごいのが出るかなと思いしばらく観察を続けましたが,この時点ではそのようなものは出ず。「ピークは過ぎたか」と思いながら30分おきに観察に来てみると,肉眼でもくっきりとわかるような幻日環や120°幻日が生じていました。よくみると太陽の下方離角約46°の地点には下部ラテラルアークも見られます。
2021年10月1日「Edge of the typhoon」
大型で非常に強い台風16号は伊豆諸島を通過し関東の東へ。千葉や茨城では停電した地域もあったようです。今回の台風16号は上陸はせず,直撃というわけではありません。もし直撃していたら...考えただけでもゾッとします。 15時頃まで巻層雲や層積雲が重なり続ける空でしたが,台風の雲域が抜けてやがて晴れていきました。 夕方東の空を見てみると,台風の上空で発散された濃密巻雲の境界に遭遇!赤外画像から,台風西象限に位置する巻雲列とわかりました。台風由来の雲を観察した経験は数多ありますが(例 2019年9月9日),ここまで明瞭な境界はじめて見ました。双眼鏡でその構造をくまなく観察。上層雲なのに非常に濃く,さすがは台風由来だなぁと感じます。巻雲の下に雲の塊が棒状に張り付き,その上にはコブ状の塔状雲。下には雲が短くほつれています。ガストフロントに伴うアーククラウドに似ているのが興味深いです。
2021年12月9日「レナード彗星」
レナード彗星が速度を上げながらどんどんと太陽に近づいています。十数分の撮影でも彗星が移動していることがわかります。実は本格的な彗星の観察はこのレナード彗星が初めてで,ここまで速いのか!と驚きました。日中は快晴で,飛行機雲から広がった巻層雲などが見られました。
2021年12月9日「双子座流星群」
放射点が高いところに上がる時間+極大と重なってふたご群判定の流星が急激に数を伸ばしました。ほぼ毎分,検出音が鳴っていて,三大流星群は伊達ではないなという実感です。並行して,流星のスペクトルを撮影していました。レンズの前に透過型回折格子(500本/mm)を置いて撮影しました。 久しぶりに,市街地で流星群を撮影しましたが,やはり光害が気になりますね。 流星は明日もまだまだ見られます。

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