2022ダイジェスト

2022年1月9日「スプライトの夜」
深夜、日本海上を寒冷前線が通過。それに伴って、石川県沖から佐渡ヶ島、秋田県沖にかけて積乱雲が乱立しました。スプライトを狙ってカラーCCDカメラを広角で仕掛けると、低空にスプライトが大量に出現しました!エルブスなどの高度90km近くで生じるような淡い発光も確認することができました。
2022年1月27日「巨大吊るし雲」
午後の時間に鈴鹿山脈に沿って巨大な吊るし雲が現れました。吊るし雲からは団塊状の高積雲が始まっており,中層の高さに生じていることがわかります。1時間ほど微速度撮影すると,ずっと定在し続ける吊るし雲の特徴を捉えることができました。最初は「吊るし雲+高積雲」だったのが,次第に高積雲が衰退して吊るし雲単体になっていく様子も記録しています。吊るし雲は,山越えの気流によって生じる雲で,雲粒は生成と消滅を繰り返しながら集団としては定在しているように見える面白い雲です。目に見えない大気の流れを可視化してくれているのですね。
2022年3月14日「月の環水平アーク」
3時〜4時に寒冷前線の性質を持つ収束線が通過。その後温度はどんどんと上昇し、四日市市で最高気温21.8℃ (15:12)を記録。スーツの上着がいらないような気温となりました。夜には巻層雲が広がり月の周りには見事な22°ハロ!月光によるハロがしっかりと見えるときは、案外きれいな分光をしているものです。写真による記録をしてみると22°ハロの下に怪しいスポット。狙いを定めて撮影を行うと、思い通り環水平アークが映り込みました。この現象は、光源の下方離角46度のところに生じる現象で、光源が太陽の場合は春から夏にかけて生じる現象です。思いがけず、今季初観測となりました。
2022年6月27日「太陽系を一望/積乱雲乱立 乳房雲/巻雲のフラクタス」
梅雨の合間の機会を狙って惑星の撮影を行いました。残念ながら水星の姿は見られませんでしたが(TOP写真の時間では地平線下)太陽系の少し珍しい光景を拝むことができました。日中は気温が上昇し、大気の状態は不安定。各地で積乱雲がたくさん生じました。東海地方は今日、梅雨明けが発表されました。
2022年7月24日「ピラミダルハロの夕暮れ」
ピラミダルハロは、普通の氷晶(六角柱が基本)ではなく、ピラミダル氷晶(20面体)という特殊な氷晶から生じる光学現象です。通常の22°、46°などに生じるハロとは違うため、odd Radius halos(異常半径のハロ)などとも言われます。今回のピラミダルハロは、プレート配向(ピラミダル氷晶が水平に分布、所謂幻日を起こす姿勢であり、ピラミダル氷晶版の幻日とも言える)によるものが優勢で、長時間に渡って生じ続けました。大阪などでも同様のハロが見られ、関西〜東海にかけて広くピラミダル氷晶の巻層雲が分布しているようでした。
2022年7月29日「朝日を浴びて成長する積乱雲」
夏の石垣島で数日過ごしました。亜熱帯地域の雲は迫力満点。目を離した隙にどんどんと積乱雲が発達していきます。素晴らしい眺めです。
2022年8月19日「レンズ雲の群れ」
夕方、山脈に沿って巻積雲のレンズ雲の群れ。上層雲と呼ばれる雲が主役の一日で、秋を感じます。
2022年9月3日「未明の落雷スローモーション」
暖湿気流の収束により、未明に積乱雲が通過。対地放電を繰り返しており、大きな音で目が覚めました。この画像は近くに落ちた雷のスローモーションです。正極性落雷の特徴である枝分かれ構造が少なく、帰還雷撃後の連続電流も長い傾向にある様子もよくわかります。
2022年9月22日「アスペリタスからの降水」
曇り空の一日で、時折霧雨が降りました。「霧雨」の撮影でもしようかなと思った矢先、鈴鹿山脈沿いに面白い波状雲を発見。急いで確認してみると、大規模なアスペリタスが生じていました!雲のうねりを可視化しており、その姿は圧巻。一見つまらない曇り空ですが、実はかなり面白い雲が生じていることもあります。
2022年10月13日「乳房雲の夕焼け」
夕方南北に走向をもった層積雲が広がりました。層積雲の一つ一つは丸みを帯びており、乳房雲となっていました。太陽が沈むにつれ夕焼けに染まり美しい光景となりました。一つ一つの雲塊は大きく立派な乳房雲です。少しレアな光景でした。
2022年10月14日「環天頂アーク 幻日」
午前中は快晴。午後からは飛行機雲とその変異種(巻雲・巻積雲)が増え始めました。その多くは尾流雲を伴ったもの。午後に出張のため移動していたところ、尾流雲(巻雲)に鮮烈な幻日が生じていました!非常にシャープで美しく分光しており、板状の六角柱が水平に分布していることを示しています。そのためこれらの雲が天頂に差し掛かるのを狙っていると、案の定、環天頂アークが生じました!これまでも観察の中でも上位トップ10に入るであろう天頂環でした。これ以降、屋内で仕事をしていたので詳細はわからないのですが、自宅の定点カメラを確認したところこれ以降尾流雲は減っていったようです。
2022年11月8日「皆既月食と天王星食」
高気圧に覆われて、夕方からは完全な快晴。絶好の皆既月食日和となりました。当HPで皆既月食は3度目ですが、初めてすべての行程を快晴で観察することができました。
2022年12月14日「ふたご座流星群」
ピークの時間帯は日本時間22時ごろで、月の出のタイミングとほぼ同じです。よって、ピークの前後は非常に良い条件で観察することができました。機材は新しくなっていないものの、完璧な快晴で最高の条件となりました。21時台の流星の出現数(ZHR)は47。うち3つの流星では永続痕を伴っており、双眼鏡で観察。中間圏の大気の流れに沿って移動していきます。

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