2019年4月19日金曜日

月光のピラミダルプレートアーク







「月光のピラミダルプレートアーク」(桑名市)

22°ハロ(内暈)や環天頂アークなどの大気光学現象は,上層雲を構成する氷晶によって生じる現象です.ほとんどの氷晶の形は,六角型や六角型のいずれかであり,その姿勢や分布の違いによって,様々な現象を生じさせます.しかし,今日未明の現象は,それらの氷晶によって生じたものではありませんでした.

その氷晶はピラミダル(pyramidal)と呼ばれ,六角柱の上下底面に六角錐がくっついた20面体型をしています.この氷晶が作り出すハロは,odd radius halo(異常半径のハロ)と呼ばれ非常に珍しい現象です.しかも今日のは月に生じたということなので,よりレアなものになります.

月からの離角を測定するために,月とその周りの恒星の赤緯から,球面三角法を用いて月からの離角を測定し,光象と比較しました.すると,おなじみの「22°」とは違い,9°(実際怪しいが)・18°・24°・23°付近にも光象が生じていることが分かりました.
23時ごろはランダムな姿勢のピラミダル氷晶で,日付を跨ぐころに底面を水平にしたプレート姿勢(通常における幻日やTAを作り出す姿勢)になっていたものだと考えられます.(参考)

このピラミダル氷晶によるハロを見つけたとき,すぐに私のtwitterで発信させていただきました.すると,彦根に住んでいる方も同様の現象を確認していました.気象衛星画像(赤外)を見てみると,近畿地方に生じていた巻層雲によって生じていたようです.

最後にピラミダル氷晶によるハロを見つけたときのことを記します.
今回の巻層雲は極めて薄かったことが印象的です.それこそ星はきれいに見えますし,月が少しぼんやりしていたことからかろうじてその存在がわかる程度のことでした.
23:06にハロが出ているかもしれないと思い空を見ると,なんだか違和感をもつハロでした.この時点では気づいていませんでしたが,写真を撮ってみると,異変に感知できました.その後,はっきりとしたプレートアークが生じ始め,このあたりからは肉眼でも確認できました.

いまだ謎が多いピラミダルという氷晶.次はいつ出会えるでしょうか.



▼クリックすると大きな写真で楽しめます▼










昨夜 23:06 下がアンシャープマスクをかけたもの 23:13 18°・23°のハロが確認できる 23:19 23:23 23:25










23:27 23:29 23:31 23:34 23:36










0:23 幻月も 0:24 高度の関係でかなり離れている 0:25 0:27 0:30









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0:34 アンシャープマスク処理 星と月からの離角解析 現象名解説 画像反転








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